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著書・論文 ファイナンス

2017年11月

ジョーンズ・デイ・コメンタリー:フランスにおける非上場有価証券の記録につき、ブロックチェーン(分散型台帳技術)の利用が可能となる見込み

フランスでは、ブロックチェーン技術の利用を解禁するため、証券法制の改正が計画されています。フランス財務省は、2017年3月、ブロックチェーン技術の利用及びそれが証券法制に与える影響につき、パブリック・コンサルテーション手続を実施した上、同年9月19日、改正案を公表しました。フランスは、ブロックチェーン技術の利用につき、安全性が確保された法的枠組みを提供するヨーロッパで初めての国の一つとなる見込みです。

具体的には、改正案において、分散型台帳技術(DLT)を通じた有価証券の記録は、(現行法における有価証券の記録方法である)カストディアンによって管理される台帳上の保有者名義の口座における記録と同等のものであり、当該有価証券の保有者であることを認証する効果を有するとされています。また、分散型台帳における取引記録に基づき、有価証券上の権利を移転することもできる(単なる証憑の一つではない)とされています。

ただし、改正案の対象となるのは、中央証券預託機関及び証券決済システムを通じた売買が行われない有価証券のみとされています。具体的には、①譲渡性債券、②集団投資スキームの持分又は株式、③ジョイント・ストック・カンパニーが発行する資本性証券、④取引プラットフォームを通じた売買が行われない債券等が対象とされています。

また、分散型台帳技術に記録される有価証券(及び分散型台帳の管理者)の準拠法がどの国の法令になるかにつき、現時点では決まりがありません。改正案は、有価証券の発行者の本店がフランス国内で登録されているか、発行された有価証券の準拠法がフランス法の場合、フランス法が適用されるとしています。

フランス財務省は、今年中に政府に対して改正案を提案するとのことであり、近く改正案の最終的な採択が行われる見込みです。今回の改正が投資家及び発行会社からの評価を得られるようなものである場合、証券引渡しと支払いの同時決済(DVP)等の追加で生じる問題を解決した上、上場有価証券にも対象が拡大される可能性があります。

本コメンタリーは、近時注目を集めるブロックチェーン技術に関し、日本企業にとっても有用な情報ですので、紹介します。詳細は、Jones Day Commentary "Blockchain Distributed Ledger Technology Approved for Nonlisted French Securities" (オリジナル(英語)版)をご参照下さい。

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タイトル掲載雑誌発行日
ジョーンズ・デイ・コメンタリー:フランスにおける非上場有価証券の記録につき、ブロックチェーン(分散型台帳技術)の利用が可能となる見込みジョーンズ・デイ・コメンタリー2017年11月

担当弁護士

オブカウンセル :伊奈 弘員

アソシエイト :吉田 勇輝