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2017年9月

ジョーンズ・デイ・コメンタリー:国際倒産のプロトコルにおける事案に応じた条項の在り方

先行するコメンタリー"国際倒産におけるプロトコルの検証"で紹介した通り、国際倒産においては、裁判所が承認するプロトコルが各国の倒産手続の主催者や裁判所の間の連絡を促進し、一般的な手続を標準化することなどの面で重要な役割を果たしています。プロトコルには、概ねどの事案にも共通する定型的な条項もありますが、他方で個々の事案の特徴に応じて柔軟に規定される条項も少なくありません。2000年以降の事例を対象とする調査によると、事例ごとに柔軟な規定が設けられる条項の典型例として、以下のものが挙げられています。

①情報の共有のガイドライン:複数国の倒産手続の主催者間で共有されるべき情報の範囲などについて定めるものです。例えば、Soundview Elite Ltd.の倒産手続では、米国の倒産手続の管財人とケイマン諸島の倒産手続の主催者との間で、債務者に関する情報の入手、管理及び共有についてのガイドラインが設けられました。

②債権の調整:いずれの倒産手続の主催者が債権の回収、譲渡、和解又は放棄などを行うかについて定めるものです。例えば、Lancelot Investors Fund, L.P.,の倒産手続では、米国の倒産手続の管財人がいずれの国でも、債務者の有する債権について行使又は調整を行うことが定められました。

③資産の管理:複数国に散在する債務者の資産を計画的に管理処分する方法について定めるものです。例えば、Manhattan Investment Fund Ltd.の倒産手続では、米国の倒産手続の管財人と英領ヴァージン諸島の倒産手続の主催者との間で、債務者の資産の管理などについて共同で計画を策定することや、定期的に電話会議を行って協議することが定められました。

④紛争の処理:複数国の倒産手続における紛争解決のルールについて定めるものです。例えば、前述のManhattan Investment Fund Ltd.の倒産手続では、各国の倒産手続の主催者間では、異議が述べられない限り裁判外の手続により紛争の解決が図られることが定められました。

上記は、近時の国際倒産共助の動向を理解する上で、国際倒産に関与する可能性のある日本企業にとって参考になると考えられ、紹介する次第です。詳細は、Jones Day Commentary "Courts, Cooperation, and More: Incorporating Case-Specific Provisions in Cross-Border Insolvency Protocols" (オリジナル(英語)版)を御覧下さい。

タイトル掲載雑誌発行日
ジョーンズ・デイ・コメンタリー:国際倒産のプロトコルにおける事案に応じた条項の在り方ジョーンズ・デイ・コメンタリー2017年9月

担当弁護士

パートナー :森 雄一郎

アソシエイト :大平 勇介