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著書・論文 事業再編・倒産

2017年10月

ジョーンズ・デイ・コメンタリー:米国倒産裁判所、私募債の補償(make-whole)条項が強制執行可能な損害賠償請求権を生じさせるものであることを肯定

米国テキサス州を拠点とするUltra Petroleum Corporation(以下「UPC」)は、繰上償還の際にはUPCが元金の100%に加えて一定額の補償金(make-whole amount)を支払う旨を定めた無担保の私募債を発行していました(以下「本件私募債」)。本件私募債は、UPCが倒産手続の申立てを行うことを期限の利益喪失の事由に含んでいたところ、2016年4月にUPCが連邦倒産法第11章の倒産手続を申し立てた際に、本件私募債に基づく補償金の支払請求権の扱いを巡ってUPCと社債権者との間で紛争が生じました。

UPCは申立後に業績が回復したため、再建計画において無担保債権の全額を弁済することを定めましたが、本件私募債の補償金については弁済の対象に含めていませんでした。これに対し社債権者が補償金の支払いを求めて訴訟を提起したところ、テキサス州南部地区倒産裁判所は、2017年9月21日に、本件私募債の補償金は強制執行可能な損害賠償請求権であると判断し、UPCに対し補償金全額の支払いを命じました。なお、UPCは、補償金が損害賠償の約定だとしたら、補償金の額は社債引受契約時に想定された損害とかけ離れているから、損害賠償の約定としては明白に均衡を欠き無効であると主張しましたが、裁判所は当該主張を退けています。

連邦倒産裁判所の上記判決は2017年10月5日付で控訴されており、上級審により異なる判断が示される可能性がありますが、私募債の実務上、定型的に用いられている補償(make-whole)条項につき、倒産裁判所が効力を肯定する判断を示したことは注目されます。

上記は、米国企業の私募債を引き受け、発行会社の倒産リスクを懸念する日本企業にとって参考になると考えられ、紹介する次第です。詳細は、Jones Day Commentary "Bankruptcy Court Rules "Make-Whole" Provision Creates Enforceable Liquidated Damages" (オリジナル(英語)版)を御覧下さい。

タイトル掲載雑誌発行日
ジョーンズ・デイ・コメンタリー:米国倒産裁判所、私募債の補償(make-whole)条項が強制執行可能な損害賠償請求権を生じさせるものであることを肯定ジョーンズ・デイ・コメンタリー2017年10月

担当弁護士

パートナー :森 雄一郎

アソシエイト :大平 勇介