HOME 著書・論文独占禁止法ジョーンズ・デイ・コメンタリー:欧州委員会、製薬業界における高価格設定行為を注視

著書・論文 独占禁止法

2017年7月

ジョーンズ・デイ・コメンタリー:欧州委員会、製薬業界における高価格設定行為を注視

欧州委員会は2017年5月15日、Aspen社の5つの抗がん剤に関する価格設定行為に対して正式な調査(以下「本件調査」)を開始したと公表しました。2008年の製薬業界の調査以来、欧州委員会は製薬業界における競争法の執行を強化する取り組みを継続してきましたが、それはpay-for-delay agreement(先発医薬品メーカーと後発医薬品メーカーとの間の特許紛争等において、後発医薬品メーカーが一定期間後発医薬品の上市を遅らせる見返りに、先発医薬品メーカーから金銭支払いを受ける旨の合意)に重点が置かれていました。競争法の執行をするにあたり、医薬品の開発には多額の費用を要すること、不当に高価格であるかの判定が困難なこと、およびその適切な是正措置を決定することが困難なこと等の理由から、高価格設定行為を理由として同法を執行することはほとんどありませんでした。

他方で、近時、製薬業界における薬価つり上げ行為に関して、広くメディアの注目が集まり、数多くの管轄地域で政治的な関心を呼んでいます。イタリア競争当局及びイギリス競争当局は、2016年に後発医薬品の価格を釣り上げたAspen社およびFlynn社に対してそれぞれ制裁金を課しています。また、イギリス競争当局は、Actavis社による薬価つり上げ行為に対して異議告知書(statement of objections)を発出し、さらには、Concordia International社による薬価つり上げ行為に対しても調査を開始しています。イタリア、イギリスに加え、スペイン競争当局もAspen社による抗がん剤の薬価つり上げ行為を調査していると公表しました。

このような中で、欧州委員会がAspen社の価格設定行為に対する本件調査を開始したことは、欧州委員会の製薬業界に対する競争法執行方針の転換を意味しているかもしれません。確かに、この新しい流れは、少量で販売される特許期限切れ医薬品の薬価つり上げ行為に限定されているかもしれませんが、医薬品の価格設定行為の合法性に関し予測不可能な影響があるかもしれません。

本コメンタリーは、欧州で事業を行う日本の製薬会社等にとって有用な情報ですので紹介します。詳細は、Jones Day Commentary "European Commission Sets its Sights on Allegedly Excessive Drug Prices"(オリジナル(英語)版)をご参照ください。

タイトル掲載雑誌発行日
ジョーンズ・デイ・コメンタリー:欧州委員会、製薬業界における高価格設定行為を注視ジョーンズ・デイ・コメンタリー2017年7月

担当弁護士

オブカウンセル :渡邉 新矢

アソシエイト :橘川 裕樹